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高森明勅
2020.3.3 03:36皇統問題

「立皇嗣の礼」では何も確定しない

4月に予定されている「立皇嗣の礼」。
誤解があってはいけないので書いておく。

秋篠宮殿下は、この儀式が行われて“初めて”皇嗣になられるのではない。
これは「立太子の礼」も同様。
既に皇太子なり皇嗣なりになっておられて、その事実を“儀礼として
”改めて広く明らかにする意味を持つ。
それ以上でも以下でもない。

だから、二重に勘違いしてはならない。
秋篠宮殿下は令和元年5月1日、上皇陛下が譲位され、
天皇陛下が即位された同じ瞬間に、皇嗣になられた。
この儀式の前も後も、秋篠宮殿下が皇嗣でいらっしゃる“事実そのもの”
には、何の変化もない。
そうである以上、この儀式によって、皇嗣が次の天皇になられることが
確定する訳でもない。

例えば、今の皇室典範の規定のままでも、立皇嗣の礼が行われた後に、
理論上の仮定として、もし天皇・皇后両陛下に男子がお生まれになれば、
その瞬間に秋篠宮殿下の皇位継承順位は「第2位」になられ、
皇嗣の地位から離れられることになる。

次の天皇であることが確定しておられる皇太子(や皇太孫)の場合は、
こうした「理論上の仮定」自体が成り立たない。
立皇嗣の礼によって、あたかも秋篠宮殿下が次の天皇として
確定するかのような、錯覚に陥ってはならない
(しかも客観的に考えて、ご年齢の制約から、実際に即位されない
可能性が高いことは、既に指摘した通り)。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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